3分でわかるGLIM基準の「疾病負荷/炎症」の解釈:3つのポイント
この記事はアフィリエイトを利用しています
すごいスピードで「GLIM基準」が実際の臨床現場に入ってきました。
GLIM基準(Global Leadership Initiative on Malnutrition criteria)とは、国際的な低栄養の診断基準です。
GLIM基準は、大きくわけて表現型基準と病因基準の2つのカテゴリーにある項目を用いて低栄養を診断します。
その病因基準は「食事摂取量減少/消化吸収能低下」と「疾病負荷/炎症」の2つから成り立っています。
さらに、「疾病負荷/炎症」の中には、「急性疾患や外傷による炎症」と「慢性疾患による炎症」に細分化されています。
どのようにして炎症の有無を判定するのでしょうか?
病名?、とりあえず、肝炎、膵炎など炎がついているもの? 癌は?
発熱?、カットオフ値は37.5℃?
CRP?、カットオフ値は0.3?
ちょっと、わかりにくいですよね。
そんなあなたへ。
この記事では、GLIM基準の炎症に関する項目を正しく評価するために、GLIMがオフィシャルに発表している「疾病負荷/炎症」の取り扱いに関する英語論文を紐解きます。
参考文献:Cederholm T, et al. Guidance for assessment of the inflammation etiologic criterion for the GLIM diagnosis of malnutrition: A modified Delphi approach, Clinical Nutrition 2023.
私自身が、元になったデータの英語論文をきちんと確認した科学的情報をベースに徹底解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
はじめに:炎症と低栄養
20 世紀後半、体重減少(低栄養)を引き起こす疾患に、炎症性サイトカインが悪さをしているということがわかってきました。
低栄養は、単純にエネルギーやたんぱく質を摂取できないということだけでなく、炎症が絡む病態だという認識が広がってきています。
炎症は、栄養素等摂取量の減少、食欲不振、筋肉異化作用を引き起こします。
その一方で、炎症は安静時エネルギー消費量を上昇させます。
つまり、炎症の悪影響で、食べる量(エネルギー)が減り、消費する量(エネルギー)が増えるという代謝の変化が起こります。
そう、低栄養の上流には炎症の存在があることはよく見る光景なのです。
低栄養と炎症はセットで評価していく必要がありそうです。
ポイント1:炎症の判定に臨床検査マーカーは確認してもよいし、しなくてもよい
病院にお勤めの方ですと、炎症の有無といえば臨床検査マーカーの代表であるC反応性たんぱく(CRP)値を想像するでしょう。
しかし、GLIM基準では、「疾病負荷/炎症」の判定に、必ずしもCRPなどの炎症指標を確認しなくてもよいことになっています。
GLIM基準は、世界標準の基準を目指していますので、血液検査ができない場所でも使用できることが求められるからです。
もちろん、病院などで、簡単に血液検査の指標を入手できるのであれば、CRP値で炎症の有無を判定する目安になります。
しかし、介護福祉施設や在宅などでリアルタイムの血液検査を確認できなければ、次項を参考にCRP値以外の方法で炎症の有無を確認しましょう。
ポイント2:GLIM基準「疾病負荷/炎症」の評価手順を理解する
「疾病負荷/炎症」は、「急性疾患や外傷による炎症」と「慢性疾患による炎症」の2つで構成されています。
まずは、目の前の患者さんに、「急性疾患があるのか?、慢性疾患があるのか?、それとも比較的おちついている状態なのか?」を確認しましょう。
次に、目の前の患者さんの炎症の程度を推定しましょう。
今回参考にしているESPENガイダンス論文にも、炎症は「基礎診断または病態、臨床徴候、または検査マーカーに基づく臨床判断をする」と書かれています。
でも、炎症の程度を血液検査なしに推定するには、脈拍、血圧、呼吸、体温、意識レベル、尿量、意識障害、末梢血管収縮などを把握し解釈するといった高度な臨床診査スキルが必要となり、かなり上級者向けです。
というわけで、上級スキルを身に着けるまでの間は、以下のように診断名を参考に、炎症の程度を推定するのが現実的でしょう。
①急性疾患:重症炎症と中等度炎症を伴う低栄養がおこりやすい代表的疾患
「急性」カテゴリとは、発症が急速で、中等度または重度の炎症を伴うものと定義されています。
①ー1重症炎症
・重症の疾患
・重度感染症/敗血症
・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
・重症熱傷
・腹部大手術
・多発外傷
・重症頭部外傷
・重症急性膵炎
など
①ー2中等度炎症
以下のような慢性疾患が急性増悪または新たな症状が発生したケース
・クローン病
・リウマチ性疾患
・慢性閉塞性肺疾患 (COPD)
・膵炎
・糖尿病
・感染症
・創傷
など
②慢性疾患:軽度~中等度の炎症を伴う低栄養がおこりやすい代表的な疾患
GLIM規準の「疾患負荷/炎症」の基準を満たす臨床所見または臨床検査マーカーを有する可能性がある例として、以下の病態が紹介されています。
・うっ血性心不全
・嚢胞性線維症
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・クローン病
・セリアック病
・関節リウマチ
・糖尿病
・腹部肥満
・メタボリックシンドローム
・悪性腫瘍
・結核などの感染症
・HIV/AIDS
・褥瘡
・歯周病
・慢性腎臓病
・肝硬変
・軽度/中等度の膵炎
・臓器不全/移植
など
③急性・慢性疾患:①②に該当しない軽度の炎症は?
①②に該当しない場合について確認しておきましょう。
たとえば、一般的な風邪やその他の自然に治る、または簡単に治療できる疾患に伴う軽度の炎症状態はどのように判定すればよいでしょうか?
回答としては、①②に該当しない軽度の炎症を伴う疾患は、GLIM規準の「疾病負荷/炎症」にカウントしません。
ただし、これらの軽度の炎症状態を放置しておいてよいということではありません。
もちろん適切な治療を受け、治療する必要があります。
その他、現時点で炎症はないけれども、低栄養に進行する可能性のある疾患としては以下の通りです。
・神経性食欲不振症やうつ病などの精神疾患
・食道狭窄
・解剖学的短腸症候群
・慢性特発性偽性腸閉塞症どの特定の吸収不良
・脳血管障害後の嚥下障害などの神経疾患
当座は、「疾病負荷/炎症」にチェックしないけれども、炎症が慢性化して中等度または重度の炎症に進行したりする場合は、GLIM規準による再判定を行うことが必要になるでしょう。
ポイント3:CRP値を参考にする場合の基準
まず、GLIM規準の「疾病負荷/炎症」を評価は、炎症と関連する疾患があれば臨床検査マーカーの確認は必須でありません。
でも、CRP値は、炎症の程度をアセスメントする際に大いに助けになります。
病院などでは、CRPの測定値は積極的に参考にしてアセスメントしたほうがよいでしょう。
その際に問題になるのは、CRP値のカットオフ値です。
CRP値による炎症の重症度は以下の値を目安にしましょう。
・軽度炎症:0.3~0.99mg/dL
・中等度炎症:1.0~5.0mg/dL
・重度炎症:5.0mg/dL以上
ただし、CRP値は炎症の推移によって、すぐに増減します。
そのため、単回の測定値に頼りすぎず、本記事のポイント②で示した事項を確認しながら、その後の測定値をモニタリングすることが大切です。
まとめ
この記事では、GLIM基準の炎症に関する項目を正しく評価するために、GLIMがオフィシャルに発表している「疾病負荷/炎症」の取り扱いに関する英語論文を解説しました。
3つのポイントはご理解いただけましたか?
はい、忘れてしまった方は、本記事をもう1回スクロールして復習しましょう。
ポイント1でも示しましたように、GLIM基準における炎症の判定には臨床検査マーカーの確認が必須でありません。
むしろ、当該患者のそもそもの疾患と炎症の関係をしっかりアセスメントしましょうというスタンスです。
大切なのは、GLIM基準を正しく用いて、正しく目の前の患者さんの低栄養診断を行い、栄養改善に導くことです。
単回のCRP値の測定値だけを見ていて安心していては、対局を見失います。
なぜならば;
第1に、最近起きた炎症発作は治癒しているけれども、低栄養が継続的に進行していることは珍しくありません。
第2に、クローン病や COPD などは慢性疾患ですけれども、炎症が再発する可能性を常に考慮しておかねばなりません。
第3に、低栄養は炎症以外でも進行します。
このように、炎症の有無や活動性に関わらず、患者さんの状態を常に観察して炎症栄養管理をすることが重要です(と、この論文には書いてあります。私の認識が正しければですが)。
【2024年8月10日OPEN】GLIM基準の広場(よろづ相談:疑問、質問、悩みなどの課題解決、情報交換)をはじめました
当ブログを介して、多くの方が、GLIM基準について勉強されたり、情報を収集されていることがわかりました。
ニーズがあるかどうかはわかりませんが、当ブログでの新しい取り組みとして、GLIM基準やその他の業務について情報交換できるような場になればと
いう思いを込めた記事を作成しましたので、よかったらアクセスしてみてください↓
VK All in One Expansion Unit
パネルを切り替え: VK All in One Expansion Unit
AIOSEO 設定
パネルを切り替え: AIOSEO 設定
一般
ソーシャル
スキーマ
リンクアシスタント
リダイレクト
SEO リビジョン
高度な設定
SERP プレビュー
nutripreneurblog
https://nutripreneurblog.com › 2024 › 06 › 07 › clinical_nutrition…
【徹底解説】GLIM基準の使い方・4つの手順:スクリーニングは何を使う? – nutripreneurblog
令和6年診療報酬改定で、回復期リハビリテーション(回リハ)病棟入院料1について、入退院時の栄養状態の評価にGLIM基準を用いることが要件化されました。 また、回リハ病棟入院料2から5においては、 GLIM基準を用いることが望ましいと厚生労働省が通達しました。 近い将来において、GLIM基準の要件化は、回リハ病棟にとどま …
投稿 のタイトル
以下のタグをクリックして、タイトルに変数を挿入します。
投稿 のタイトル
区切り
サイトのタイトル😀
投稿 のタイトル 区切り サイトのタイトル
推奨される最大文字数60字のうち55字
メタディスクリプション
以下のタグをクリックして、変数をメタディスクリプションに挿入します。
投稿 の抜粋
投稿コンテンツ
区切り😀
投稿 の抜粋
推奨される最大文字数160字のうち6991字
基礎となるコンテンツ
PRO
基礎となるコンテンツとは、コンテンツ戦略の基礎となる、サイト上の最も重要で有益な記事やページを指します。AIOSEO では、基礎となるコンテンツを次の用途に使用しています:リンクアシスタントの内部リンク推奨もっと詳しく →基礎としてマーク
基礎となるコンテンツは PRO の機能です。もっと詳しく →
フォーカスキーフレーズフォーカスキーフレーズを追加する
追加のキーフレーズを取得
追加のキーフレーズ
追加のキーフレーズを使って SEO ランキングを改善しましょう。
ページ分析
基本的なSEO4件のエラー
タイトルすべて良い!
読みやすさ1件のエラー
Head and Footer
パネルを切り替え: Head and Footer Disable top injection Disable bottom injection投稿ブロック
概要
表示状態公開
公開6月7日 8:30 PM
テンプレートデフォルトテンプレート
URLnutripreneurblog.com/2024/06/07/clinical_nutrition_glim/ブログのトップに固定投稿者アラフィン修正日を更新しない下書きへ切り替えゴミ箱へ移動
AI アシスタント
UserFeedback
AIOSEO
Excerpt
抜粋を入力 (任意)
設定希望する文字数
自動生成される抜粋の文字数を設定できます。 AI がどのように機能するかによって最終的な文字数が変わる可能性があります。破棄承認生成
カテゴリー
スキルアップ学位、資格実践栄養英語Top pageプロフィール起業&趣味新規カテゴリーを追加
タグ
新規タグを追加
半角コンマまたはエンターキーで区切ります。
アイキャッチ画像
置換削除
ディスカッション
Lightning デザイン設定
パネルを切り替え: Lightning デザイン設定
レイアウト設定
共通設定を適用2カラム1カラム1カラム(サイドバー要素あり)
ページヘッダーとパンくずリスト
- ページヘッダーを表示しない
- パンくずリストを表示しない
余白設定
- siteContentの上下余白を無しにする
このページの自動最適化
パネルを切り替え: このページの自動最適化
このページを最適化 ?
事前読み込みする LCP (コンテンツ用の大きな) 画像 公開パネルを開く
- 投稿
通知
サイトに表示したいコンテンツのリンクを貼り付けます。
VK All in One Expansion Unit
パネルを切り替え: VK All in One Expansion Unit
AIOSEO 設定
パネルを切り替え: AIOSEO 設定
一般
ソーシャル
スキーマ
リンクアシスタント
リダイレクト
SEO リビジョン
高度な設定
SERP プレビュー
nutripreneurblog
https://nutripreneurblog.com › 2024 › 06 › 17 › clinical_nutrition…
【徹底解説】診療報酬改定に伴うGLIM基準の位置づけと7つのポイント – nutripreneurblog
令和6年(2024年)の診療報酬改定において、低栄養の診断基準である「GLIM基準」の位置づけが注目されています。 GLIM基準(Global Leadership Initiative on Malnutrition criteria)とは、国際的な低栄養の診断基準です。 診療報酬改定とGLIM基準の関係を知 …
投稿 のタイトル
以下のタグをクリックして、タイトルに変数を挿入します。
投稿 のタイトル
区切り
サイトのタイトル😀
投稿 のタイトル 区切り サイトのタイトル
推奨される最大文字数60字のうち53字
メタディスクリプション
以下のタグをクリックして、変数をメタディスクリプションに挿入します。
投稿 の抜粋
投稿コンテンツ
区切り😀
投稿 の抜粋
推奨される最大文字数160字のうち7741字
基礎となるコンテンツ
PRO
基礎となるコンテンツとは、コンテンツ戦略の基礎となる、サイト上の最も重要で有益な記事やページを指します。AIOSEO では、基礎となるコンテンツを次の用途に使用しています:リンクアシスタントの内部リンク推奨もっと詳しく →基礎としてマーク
基礎となるコンテンツは PRO の機能です。もっと詳しく →
フォーカスキーフレーズフォーカスキーフレーズを追加する
追加のキーフレーズを取得
追加のキーフレーズ
追加のキーフレーズを使って SEO ランキングを改善しましょう。
ページ分析
基本的なSEO2件のエラー
タイトルすべて良い!
読みやすさ1件のエラー
- Meta description lengthThe meta description is over 160 characters.
- Content lengthThe content is below the minimum of words. Add more content.
- Internal linksYou are linking to other resources on your website which is great.
- External linksGreat! You are linking to external resources.
Head and Footer
パネルを切り替え: Head and Footer Disable top injection Disable bottom injectionドキュメント設定を開く公開パネルを開く
- 投稿
通知
サイトに表示したいコンテンツのリンクを貼り付けます。
“3分でわかるGLIM基準の「疾病負荷/炎症」の解釈:3つのポイント” に対して3件のコメントがあります。