【徹底解説】診療報酬改定に伴うGLIM基準の位置づけと7つのポイント

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令和6年(2024年)の診療報酬改定において、低栄養の診断基準である「GLIM基準」の位置づけが注目されています。

GLIM基準(Global Leadership Initiative on Malnutrition criteria)とは、国際的な低栄養の診断基準です。

診療報酬改定とGLIM基準の関係を知るためには、膨大な資料に目を通す必要がありますが、その時間がとれない場合は大変ですよね。

診療報酬改定の資料に目を通す前に、まずポイントだけでも知ることができればうれしいと思いませんか?

そんなあなたへ。

この記事では、令和6年(2024年)診療報酬改定の中で、GLIM基準がどのように位置づけされているのか、7つのポイントについて徹底解説していきます。

ぜひ、最後までご覧ください。

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診療報酬改定、介護報酬と障害福祉サービス等報酬

診療報酬改定とは、XX加算やXX料などの新設や点数の変更などを見直すものです。

診療報酬の改定は、原則として2年に1回行われます。

似たような言葉として、介護報酬と障害福祉サービス等報酬があります。

これらの改定は、3年に1回の頻度で行われます。

ということは、6年に1回は、診療報酬、介護報酬と障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われるということになります。

令和6年度(2024年度)は、これら3つが同時に改定されるトリプル改定でしたので、注目度が高いのです。

診療報酬改定とGLIM基準の位置づけ

これまで、低栄養について世界共通の診断基準はありませんでした。

そこで、欧州・米国・アジア・南米の4学会の代表者が一同に会して、世界規模で低栄養の診断基準を作成するコンセプトチーム GLIM(Global Leadership Initiative onMalnutrition)が発足し、その成果が2018年に発表された低栄養の診断基準です。

この低栄養診断基準は、代表者が集ったチーム名であるGLIMが冠され、GLIM基準と名づけられました。

Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al :GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition -A consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr 2019;38:1-9.

GLIM基準は、その後すごいスピードで、我が国の診療報酬に反映され、現在に至っています。

では、次の項から、診療報酬改定に伴うGLIM基準のポイントをおさえていきましょう。


臨床栄養 これからの低栄養診断―GLIM基準を深く理解し活用する 2024年7月号 145巻1号[雑誌]
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①GLIM基準と『回復期リハビリテーション病棟入院料』

『回復期リハビリテーション病棟入院料1について、入退院時の栄養状態の評価にGLIM基準を用いることを要件とするとともに、回復期リハビリテーション病棟入院料2から5までにおいては、GLIM基準を用いることが望ましいこととする。』

小難しい文章ですが、言語聴覚士によるリハビリプログラムの提供や、社会福祉士の配置の義務付けなど、最も高い病棟基準をクリアしている回リハ病棟1の施設が先陣を切ってGLIM基準を使用してみましょうということです。

具体的には、回リハ病棟に入院する患者さんに対して、入院時と退院時にGLIM基準を使って低栄養の有無をきちんと診断してくださいということですね。

では、なぜ一般病棟ではなく、回リハ病棟なのでしょうか?

それは、回リハ1の栄養管理に関わる管理栄養士の方々のエビデンスを出す力(成果を出して論文化できる)への期待だと、私は思っています。

まず、回リハ1で”お試し”で開始し、エビデンスをつくって、対象病棟を拡大化していくという戦略なのではないでしょうか。

というわけで、回リハ病棟1にお勤めの管理栄養士の先生方は、GLIM基準を導入して、その有用性を発信していただきたいと期待しています。

回復期リハビリテーション病棟入院料2から5にお勤めの管理栄養士の先生方は、次の診療報酬改定に備えて、GLIM基準の導入を進めた方がよいでしょう。

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②GLIM基準と『リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算』

『急性期医療におけるADLが低下しないための取組を推進するとともに、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る観点から、土曜日、日曜日及び祝日に行うリハビリテーションを含むリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理について、新たな評価を行う。』1日につき120点

どういうことかというと、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士らとともに、チーム医療でリハビリと栄養管理および口腔ケアをすすめましょうということです。

もし、これを算定できれば、1名の患者あたり1日120点を14日間を限度に算定できます。

ただし、下図の算定基準および施設基準を満たしていなければならず、なかなかハードルが高い算定です。

特に、土日祝日関係なく、原則入棟後48時間以内に各職種は対象患者さんへのケアを開始しなければなりません。

また、多職種によるカンファレンスの開催も日露です。

土日祝関係なくとなると、労務管理に関わりますので、クリアするためには個人の努力というよりも施設での努力が必要になります。

ちなみに、管理栄養士の役割は、48時間以内に、患者に対面の上、入院前の食生活や食物アレルギー等の確認やGLIM基準を用いた栄養状態の評価を行うとともに、定期的な食事状況の観察、必要に応じた食事調整の提案等の取組を行うこと、とされています。

そう、GLIM基準で低栄養の有無を診断することがこの加算を算定するための条件なのです。

この算定を導入するメリットとして、

(1)チーム医療による患者さんの回復促進が期待されます。

(2)低栄養でない患者さんも、この算定の対象になるので、収益増加が期待できます。


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③GLIM基準と『地域包括医療病棟入院料/リハビリテーション・栄養・口腔連携加算』

これも、個人の努力の前に、施設の整備が前提の算定になります。

そもそも、地域包括医療病棟とは何でしょうか?

これは、軽症・中等症の高齢患者さんの救急の受け皿となる病棟です。

現在、軽症・中等症の高齢患者さんが、重症患者を集中的にケアするICUやCCUなどに点在しています。

そのため、本来、ICUやCCUなどで、集中治療をしないといけない患者さんのベッドが不足しているという問題点があります。

そこで、軽症・中等症の高齢患者さんに、リハビリを含めたケアができる機能を持たせたのが、地域包括医療病棟です。

地域包括医療病棟にお勤めの管理栄養士の方々のミッションは、次の2点になります。

(1)GLIM基準を用いた栄養状態評価

(2)週5回以上の食事観察

これに加えて、リハビリスタッフらと連携して、リハ・栄養・口腔ケア、カンファレンスなどを行った場合に、患者さん1人あたり80点(14日間を限度)を算定できます。

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④GLIM基準と『栄養情報連携料(任意)』

『入院栄養食事指導料算定する患者に対して、退院後の栄養食事管理について指導を行った内容及び入院中の栄養管理に関する情報を示す文書を用いて説明し、これを他の保険医療機関、介護老人保健施設、・・・の医師又は管理栄養士に情報提供し、共有した場合に、入院中1回に限り算定する。』

長いので途中省略してしまいました(汗)

これは、栄養情報提供加算のバージョンアップ版です。

とにかく、入院中に栄養食事指導をした患者さんについては、栄養や食事に関することを、転院先など後方施設に情報を提供しましょうということです。

そして、この際に、できればGLIM基準で低栄養の診断をしてほしいということですね。

GLIM基準は任意なので、必ずしもこの算定をとるのには必要ありません。

でも、時代の流れから、今後はGLIM基準による低栄養の診断が必須になってくる可能性がありますので、今から備えておいたほうがよいでしょう。


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⑤GLIM基準と入院時食事食事指導料

栄養食事指導を算定できる患者さんの病態の中で、低栄養がありますね。

改正前『低栄養状態にある患者とは、次のいずれかを満たす患者をいう。イ 血中アルブミンが 3.0g/dL 以下である患者』

改正後『GLIM 基準による栄養評価を行い、低栄養と判定された患者』

アルブミンがバッサリ消えて、GLIM基準で低栄養と判定された患者さんは、栄養食事指導の対象として算定可能ですよという意味ですね。

つまり、私の解釈が誤っていなければ、GLIM基準を全体で導入して、低栄養と判定された患者さんのすべてが栄養食事指導の算定対象になるということです。

栄養食事指導の件数を増加させたい施設にとって、活用しない手はないでしょう。

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⑥GLIM基準と栄養サポートチーム加算

栄養サポートチーム加算を算定できる対象者にも、以下のようにGLIM基準が採用されました。

改正前『ア 栄養管理計画の策定に係る栄養スクリーニングの結果、血中アルブミン値が 3.0g/dL 以下であって、栄養障害を有すると判定された患者』

改正後『ア 栄養管理計画の策定に係る栄養スクリーニングの結果を踏まえ、GLIM基準による栄養評価を行い、低栄養と判定された患者』

こちらも、バッサリとアルブミンが除かれ、GLIM基準に置き換わっています。

20年以上前は、血清アルブミンが重要な栄養指標として活用されていましたが、栄養指標としてのアルブミンの時代は完全に終わったといえるでしょう。

※アルブミンは予後指標という使い方がよいと思われます。


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⑦GLIM基準と『入院栄養管理体制加算』

令和6年度改定において、入院料の通則が改定されました。

改正前の要件『入院診療計画の策定、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、及び栄養管理の基準』

改正後の要件『改正前の5点に加え、栄養管理体制の基準の明確化、人生の最終段階における意思決定支援、及び身体的拘束の最小化の取り組み』

そもそも通則とは何でしょうか?

これは、そもそも、以下の要件を満たしていなければ、入院料の算定は認められないということです。

絶対におさえておかなければならないポイントだということですね。

この絶対におさえておくべき要件の中に、栄養管理体制の基準の明確化というワードが入ってきました。

では、次に、栄養管理体制の基準とは何でしょうか?

以下のように示されています。

改正前『 管理栄養士をはじめとして、医師、看護師、その他医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、定期的な評価等)を作成すること

改正後『 管理栄養士をはじめとして、医師、看護師、その他医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(標準的な栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、退院時を含む定期的な評価等)を作成すること

※標準的な栄養スクリーニングについては、以下の記事に詳しく記載しています。

そして、以下のように記載されています。

GLIM基準を活用することが望ましいが、GLIM基準を参考にしつつ、各医療機関の機能や患者特性等に応じて、標準的な手法を位置づけていれば差し支えない。』

もちろん、現在のところはGLIM基準が必須ではないけれども、時代の流れかあして将来的には必須になる可能性が高いでしょう。

そのときになって慌てなくてもよいように、可能なところから少しずつ栄養管理のフローを見直していくことをお勧めします。

いませんので、個別判断になると思います)

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まとめ:GLIM基準と診療報酬改定の未来予測

冒頭にも記載しましたように、診療報酬、介護報酬と障害福祉サービス等報酬の改定は、それぞれ2,3年後に行われます。

今回、回リハ病棟でのGLIM基準の使用の要件化、その他の項目においてもGLIM基準の使用を推奨する文言がみられました。

近い将来、回リハ病棟でのGLIM基準のエビデンスが創出され、一般病棟、さらには介護の現場にも普及していく可能性が高いでしょう。

私たちは、来る診療報酬改定に備えて、時代の流れをよみつつ、GLIM基準などの新しい知識を獲得するだけでなく、各施設に導入・実装していく準備をすすめていくことが求められています。

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